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「三人姉妹」



「三人姉妹」

 大島真寿美著

 









三人姉妹の年の離れた末っ子の水絵は、ミニシアターでアルバイトをしながら、大学の頃のサークル仲間と映画を作ったりしながらのんびり暮らしている。
長女亜矢は、お見合い結婚をして平穏に暮らしているかと思ったら、離婚騒動を起こして息子を連れて実家へ帰ってくるし、次女真矢はバリバリのキャリアウーマン、不倫にはまってどろどろに、そして母はええ年して家出を!
滅茶苦茶な家族に振り回されて、年下の彼ともうまくいかず、さらに将来への不安も募るばかり、でもやっぱりのんびり暮らす水絵の物語です。

いやー仲のいい姉妹ですこと。
お互いけなし合いやし(特に恋愛に関して)、んで末っ子水絵は姉二人にええように使われまくりではあるけども、仲いいですよー彼女達は。
うちにも妹が一人おりまして、そんな仲悪くはないとは思いますが、恋愛の話なんてそうしないもんね。
真矢と水絵が、亜矢が彼氏と公園でキスしているところを覗きにいくていうシーンが、かわいくってすごく好き!

将来に悩む若者の小説はいろいろありまして、髪の毛掻きむしって悩むようなタイプと、考えんのもめんどくさいぜーって感じのだらだらタイプに分けられるかと思います。
水絵はもちろん後者。
こういうのん読んだらついついイラっとしちゃいがちなんですが、全然大丈夫でした。
向上心なんて感じられへんのに、なんでやろ、水絵の性格かな。

最後は、え、これで終わり?と、あっけにとられるようなとてもよくわからん終わり方でした。
いや水絵の物語はこれからやからねってことで、そもそも水絵の日常にそんな劇的なイベントもないしな、あの終わり方でもそんなに不快感無し。

ところで、なんで表紙に猫がおるんでしょう・・。
猫なんて一匹も出てきませんでしたけど?
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by sabazaki-jaco | 2009-09-30 01:05 | ほん
「恋文の技術」



「恋文の技術」

 森見登美彦著

 









お手紙はええもんです。
字を書くことが楽しいし、切手を選んだりすんのも文通の醍醐味ですよね。
しかし恋文は書いたことないかもなー。

能登の実験所に飛ばされた大学院生守田一郎が、京都にいる大学の友人や先輩や妹に宛てて手紙を書く。
ひたすら手紙!

友人の小松崎君から恋愛相談を受け(まともなアドバイスをしているかどうかは置いといて・・)、いたずら好きの先輩には忠告を(受け入れられるかは別問題・・)、妹には説教を(これまた無視されている気がしますが・・)
ほんでおもしろいのが、森見登美彦氏との文通!
大学の友人ということで登場します。
他の小説と話がつながる部分もあって、ファンなら喜ばしい限りですよー。

お話は、守田一郎から誰か宛ての手紙の文面だけで進んでいきます。
向こうからの返信や、その他のつなぎの文章みたいなもんは一切なし。
これを書簡体小説というんですか?ネットに書いてた。
ふーん、初めて読んだー。

さて、「恋文の技術」やのに恋文は誰宛?とお思いのことでしょう。
守田一郎はシャイボーイなんで、なかなか意中の人には手紙が出せないのです。
書いては途中で諦め、反省点を挙げて次に挑む、けどまたうまく書けず。
あほちゃうんと思うようなおもしろ失敗書簡がずらり。
友人の恋愛にはでかい口叩くのになー。

モリミーを読んだことない方で「恋文の技術」を読みたいと思われた方は、他の作品数冊(できれば「夜は短し歩けよ乙女」)を読んでからにされたほうが、ずっと楽しめると思います。
お茶目な人やわーほんま。
今回は若干能登に進出したけど、やはり京都からは離れへんねんなぁ。
飽きひんからええですけどね。
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by sabazaki-jaco | 2009-09-21 12:10 | ほん
「蛇行する川のほとり」



「蛇行する川のほとり」

 恩田陸著

 









少女が大人になる瞬間は、小説やら映画やら漫画やら、色んな手段で描かれてきたことと思います。
それやったらうちは、その代表にこの本を選びたい。

うちで合宿をしましょうと、憧れの先輩の香澄と芳野からお誘いを受けた毬子は、嬉しくて嬉しくて舞い上がってしまう。
二人は高校美術部の先輩であり、演劇祭で使う舞台の背景を描き上げなくてはならなくて、その合宿を香澄の住む「船着場のある家」ですることになったのだった。
合宿には他にも、香澄のいとこの月彦と、女の子みたいな綺麗な顔立ちの暁臣が来たのだが、実はこの五人は、この付近で遠い昔に起きた未解決の事件に関わりがあった。

美しい少女と事件、うーんぞくぞくする組み合わせ!
「船着場のある家」と、そのお隣の「塔のある家」、ネーミングからして神戸の異人館みたいな洒落た建物に違いないし、もう何かと乙女心をくすぐってくるんですよね。
酒井駒子さんの表紙も、何かを秘めている感じが内容とぴったし。

探偵みたいに事件を解決するのではなく、事件当時の秘密が最初から彼女達の中にあって、少しずつ思い出す、あるいは思い出すように仕向ける。
ミステリってよくジクソーパズルに例えられるけど、そんなばらばらな感じじゃないんですよね、恩田さんって。
完璧な状態のものを、優しく慈しむようにはがしていくというか・・・ええ例えが見つからないですが・・・。
純粋で美しい少女たちを、あたたかく見守りながら書きはったんやろなぁ、これ。

うちが一番好きなシーン、それはなんと言っても最終章。
秘密をこっそりと自分だけに教えてもらっているような感覚になりました。
「私たちだけの秘密よ。誰にも言っちゃだめよ。」と友達と隠れて喋った、小さい頃の思い出のような。
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by sabazaki-jaco | 2009-09-12 23:14 | ほん
「ねこに未来はない」



「ねこに未来はない」

 長田弘著

 










ねこ好きの皆さん、にゃんだか恐ろしいタイトルですが、心配ご無用!
「ねこに未来はない」は、ねこの未来はお先真っ暗!という意味ではなく、ねこに未来という概念はないのだ!ということなのです。

ねこ嫌いだったぼくは、大変ねこ好きな奥さんと結婚し、ねこを飼うことになった。
しかし次々といなくなってしまうねこたち。
一体どこへ消えてしまったのだろうか。
詩人の長田弘が描く、物語のようなエッセイです。

ねこに未来はない、ので、老後はこのうちでゆっくりと・・なんて、とても考えない。
木の葉が落ちる、すずめが飛び立つ、この瞬間が全てなのです。
こんなにすてきなぼくと奥さんがいるのに、なんでどっかへ行っちゃうんやろなーなんて考えても、ねこなんやからしゃーないのですね。

ねこ文学の登竜門、といったところでしょうか。
うちは通るのがずいぶん遅かったですが。
「ねこに未来はない」の現代版が、町田康の「ねこにかまけて」という感じかなー。

にゃんとこの本、1971年に書かれたものだそうです。
うち生まれてない!
何十年もの間、愛されて発行され続け、ねこ好きたちを楽しませ興奮させてきたのやと思うと、厚さ1センチ程度の文庫本がぐんと重みを増して感じられます。

ねこに未来はなくない!
この本が、ねこの未来を作っているんやわ!
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by sabazaki-jaco | 2009-09-07 00:51 | ほん
「カンランシャ」



「カンランシャ」

 伊藤たかみ著

 









若者を描くたかみさんが好きなもんで、大人度高めのたかみさんを読むのはなんとなく避けてきたんですが、ついに初挑戦。
大人の恋も、悪くないなー。

夫の直樹の浮気調査を、直樹の後輩であり友人でもある隆一に頼んだいずみ。
隆一は妻と別居中で、二人の仲はすでに冷めきっており、相談を受けるうちにいずみのことが気になり始める。
一方もごもごと浮気中の直樹は、愛人から、奥さんと離婚して一緒になってほしいと迫られ続け、さらにもごもご。
直樹、いずみ、隆一の三人の視点から、大人の恋を爽やかに描かれています。

まぁ言うたらダブル不倫なんですけどね。
以前に読んだ井上荒野さんの「雉猫心中」も、不倫ふりーんな感じで関係がどろどろしとったんですが、この本は臭さがない。
不倫も浮気もあきませんよ、でも、三人が三人とも恋に必死でぐちゃぐちゃなんです。
恋は盲目とは、うまいこと言うたもんやなぁと感心。
でも女ってこわいね。

たかみさんあんまり単行本出してないですよね。
これは今年の6月なんですが、そうとう久しぶりなような・・。
さらにこの「カンランシャ」、びっくりなことに、雑誌「CLASSY.」で掲載されていたそうなんです。
クラッシー言うたらきりりとした大人の女のイメージ。

もっとヤング向けのんを書いてー。
辻仁成ぽい感じにならんとってー。
たかみさん、うちはあなたの書く若者たちが好きなんです!
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by sabazaki-jaco | 2009-09-01 02:07 | ほん
「オノマトペがあるから日本語は楽しい」



「オノマトペがあるから日本語は楽しい」

 小野正弘著

 ○○









じゃじゃーん!
「日本語オノマトペ辞典」を手がけた小野正弘さんによる、オノマトペを楽しむための手引書です。

オノマトペとは、擬音語、擬態語のこと。
にゃーにゃー、とろり、キュルキュル、さらさら、ペチャ、しーん・・・。
日本語は他の言語に比べて、オノマトペが仰山あるみたいです。

特に関西人は、わーわーぎゃーぎゃー、ようオノマトペを使っているように思います。
意識せずに喋ったら、知らん間にオノマトペだらになっています。
こないだケンミンショーでもやってたんですが、ちょっとかっこええスタイリッシュなものに対して使う“シュッとした”とか。
うちもめっちゃ使うし。
オノマトペ抜きで喋るん、多分無理です。

著者の小野さんという方はどうやらどこか大学教授のようで、この本も、大学の講義の雰囲気を反映している、とあとがきで仰っていました。
漫画の一コマや、有名な小説からの引用など、誰でも知っているようなところから例を持ってきてくれるので、オノマトペを身近に感じながら学ぶことができます。
しばしばええ方向に脱線気味の、おもしろい講義でした。

ちなみにうちの一番好きなオノマトペは、むんむんです。
どんなシーンにも使えるオノマトペやと思いますが、うちがイメージしているむんむんは、猫のひげの付け根のふくらみの部分。
猫が黙ってじーっとしているとき、あの部分はとてもむんむんしていてかわいいのです。
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by sabazaki-jaco | 2009-08-29 01:16 | ほん
「男ロワイヤル」



「男ロワイヤル」

 小田扉著

 









ちょっと前に感想文を書いた「団地ともお」の作者による短編集です。
あのときは「買うか買わんかって言われたら買わんので、4点にしときます」と書きましたが、今ならともお、全巻揃えたい。
古本屋で集めよう!決定!

この「男ロワイヤル」ていう、なんともバッファロー吾郎ぽい匂いのするタイトルもすてきですし、表紙のおっさんとおねえちゃんもかわいい。
一番気に入ったのは、「エレクトロねえちゃん」!
姉ちゃんとよしおの姉弟が買ったパソコンは、猫だった。
猫型パソコン、いやーパソコン付き猫かも。
パソコンを使いこなす姉ちゃんと、パソコンと仲良くなれないよしおの、かわいくてちょっと心が和むけどどうでもええ話です。

どうでもええっていうのは、一見あかんように思われるけど、大事大事!
感動の涙も大爆笑ももちろんないけど、これぞ最上級の暇つぶしやと思います。

しかしこないだ友達と漫画トークをしていたとき、「団地ともお」や「クマのプー太郎」や「エンジェル伝説」が好きーっていう話をしたんですが・・・
「あなたの好きな漫画は全部汚い」
みたいなことを言われてしまいました・・・。
まぁどうせ少女漫画は一切読みませんけども・・・。
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by sabazaki-jaco | 2009-08-24 23:18 | ほん
「山田商店街」



「山田商店街」

 山田マチ著

 









これは随分けったいな本を読んでしまいました。
小説の棚にあったけど小説じゃない。
ことばあそびの作品集です。
ていうか小ネタ集です。

まず山田商店街のお店紹介。
食堂やらパン屋さんやら、一見どこの商店街にでもあるような普通のお店なんですが、山田商店街はひと味違います。
や、ひと味どころやありません。
塩こしょうで味付けした上に、ウスターソース、レモン果汁、山椒、ガムシロップ、ローリエ、味の素、マタタビ・・・。
えらいことになっていますがおいしい、そんな感じです。

そして山田町だよりでは、山田商店街のお店からのおしらせを、山田職業安定所では、その名の通りアルバイト募集など。
もちろんこちらもただ者でございません、くせ者です。

だじゃれのような親近感と、落語のような滑稽さ、こどもの無邪気さとできる大人の遊び心、そこにおとぎ話やファンタジーをプラスして、パロディ加えてかき混ぜて。
普通の商店街の風景や、実在する商品やストーリーを風刺していますが、全く嫌みなく、純粋におもしろい。
長編小説も書いてほしいです。

こんなおもろいもん書く山田さん、何者なんかなーと気になって調べてみたら、さすがーおもろいお人でした。
どうやらラーメンズの小林賢太郎の仕事に関わってはるそうです。
なんかちょっと納得。
山田マチさんのサイト、こちらもすばらしくええ感じやったので載せておきます。

山田の書きもの:http://www.yamadano.net/menu.html
↑是非“自己紹介”ってとこを見てみてください。うふふ。
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by sabazaki-jaco | 2009-08-20 00:37 | ほん
「New Standard of Japanese Bookstores 本屋さんに行きたい」



「New Standard of Japanese Bookstores 本屋さんに行きたい」

 矢部智子著

 ○○








はい!
本屋さんに行きたいです!

ここ何年かで増えてきた個性的な本屋さんを紹介した一冊。
人がつながる本屋さん、空間を楽しむ本屋さん、あたらしい古本屋さん、街と生きる本屋さん、もっと!本屋さん、の五章で構成されております。

著者の矢部智子さんはどうやら関西の方のようで、紹介されている本屋さんも関西:関東が1:1くらいの割合。
ただ関西の本屋さんはすでに全部知っているところやったんで、目新しい情報を得られたってわけじゃないんですけど、関西が仰山ってのはそれだけで嬉しいもんです。

写真がすごく仰山あって、さらにかわいいです。
モデル(本屋さん)がええってのもあるけどね。

でもこの本、1600円って高っ!
オーナーのこだわりや本屋さんを始めたきっかけとか、そんなとこまで掘り下げられているわけでもないですし、ほんま本屋さん紹介だけなんで、内容は雑誌の情報程度。
確かにええとこ仰山紹介してくれますが、買わんでもええかも。
ちなみにうちは図書館で借りました。

「グーグーだって猫である」を見てから吉祥寺に行きたいーと思い続けておるんですが、ええ本屋さんあることがわかり憧れが増しました。

ほんで恵文社行きたいー!
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by sabazaki-jaco | 2009-08-16 00:32 | ほん
「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」



「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」

 米原万里著

 









暑い毎日は嫌やけど、夏は文庫本が色気づくので、棚を見ているだけで楽しくなります。
梅佳代写真が表紙の太宰も気になるけど太宰なんか絶対よう読まんし、ってことでアーニャです。
図書館で検索したら小説に分類されておったんですが、小説風自伝ってところでしょうか。

マリがこどもの頃の数年間通っていた在プラハ・ソビエト学校には、50カ国以上のこども達が集まってきていた。
同級生であった個性的な三人の少女との出会いは、マリの人生に大きな影響を与えた。
男の見極めを教えてくれたギリシャ人のリッツァ。
どうでもいいような嘘をついてしまうが憎めないルーマニア人のアーニャ。
クールな優等生で絵の上手なユーゴスラビア人のヤスミンカ。
それぞれがそれぞれの故郷や新たな土地で大人になり、二十世紀後半の激動の時代の中で音信不通になってしまうのだが、マリは三人の友人を探し出し、感動の再会を果たす。

うち歴史を全然知らんから、内容を理解するんがちょいと難しかったです。
ていうかわからんまま読みました。
プラハの春ってどんな出来事でしたっけ?
↑これかなり出てくるんですが、、わからん・・・

在プラハ・ソビエト学校での思い出、マリが日本に帰ってきてからしばらく文通、東欧の情勢がえらいことになって文通途絶える、マリ気になって会いに行く。
こんな感じなので、細かい事情はわからなくても読めます。
細かい事情がわかるわからないよりも、戦争や紛争や人種差別やそんなものがあった事実を知り、ひどい!とかあかん!とか感じる方がきっと大事。

今の時代に日本にずっと住んでいて、普段自分が日本人であることを気にすること、そうないですよね。
在プラハ・ソビエト学校に様々な国から集まってきたこども達は、まだ小さいのに、皆自分の国を背負って生きているみたいに振る舞わはる。
そして戦争真っただ中の自分の国に、やっと帰れると喜んで帰っていったりする。
甘っちょろく生きているうちにはとてもわからん感情や。

ここまで書いてえらい重い内容に思われるかもしれませんが、あくまで物語(っぽい)のでしんどくないです。
日本人のマリの心情、リッツァやアーニャやヤスミンカの心情、その親や兄弟の心情など、国も立場も違う色んな人がそれぞれの想いを持っている上に、うちの場合は歴史を知らんってこともあって考えることが仰山ありすぎでしたが、もう一度言いますが、しんどくないです。
もうこれはエッセイスト米原万里さんのすばらしさ!としか言い様がないですね。
ほんと読ませます。
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by sabazaki-jaco | 2009-08-15 00:23 | ほん