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「園芸少年」



「園芸少年」

 魚住直子著

 









篠崎は高校一年生、帰宅部の生徒が多い楽そうな高校を選び、毎日を無難に過ごすはずだった。
しかしひょんなことから園芸部に入ることになってしまう。
眉毛を剃りいかにも悪そうな大和田と、段ボール箱をかぶり顔を隠して登校する庄司と、園芸素人ばかり部員三人で、枯れた花壇を花でいっぱいにすることはできるのか。

絵に描いたような健全な物語です。
この健全さは、「図書館戦争」のメディア良化委員会の検閲にも引っかかりようがないわ。
冴えない少年と元不良少年とひきこもり少年による健全な物語、はい、ご想像通りの展開で間違いないかと思います。

あ、おもんなさそうって思いました?
うちも思ってました。

自分たちの手で、試行錯誤しながらの花壇作り。
水をやって葉っぱがシャンとしたことに喜び、なかなか芽が出ないことに悩み、植物の成長に素直な反応を見せる彼らに、ほんわかした気持ちになれます。
がんばれーって応援しながら読んでいました。
最後にはしっかり花開きます。
枯れたりなんかしませんよ。

んで三人がまたほんまええ子なんです。
土いじりした後、爪に入った土をこすって洗うけど取れへんーて言い合っているシーンなんて、かわいすぎ!

あーなんか花育ててみたくなったり。
サボテンすら枯らすうちには無理ってわかっています。
植物の本読んで満足!
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by sabazaki-jaco | 2009-10-30 23:36 | ほん
「男と点と線」



「男と点と線」

 山崎ナオコーラ著

 ○○









クアラルンプール、パリ、上海、東京、ニューヨーク、世界最南端の町。
世界中のいろんなところでどこででも男と女はつながっているんだ!をテーマにした、短編集です。
それにしてもほんま、ナオコーラは男が好きやなぁ。

というのを最も感じたのが、二番目のパリ「スカートのすそをふんで歩く女」。
なんかわからんけどもうタイトルからして!って感じなんですが、主人公の女は大学4回生、女の子の友達と喋ってもおもんないから男の子とばっかり遊んでいて、その男友達3人とパリに卒業旅行に行く、という話です。
この主人公から、なんやナオコーラの匂いがぷんぷんする!

東京の「膨張する話」も、こっちは高校3年生の男子が主人公で、久しぶりのデートで彼女にエロい話ばっかりして困らせる、ていう話なんやが、なぜかこっちにもナオコーラ臭が・・。
妄想だらけの高3男子やのに。
でもこれはめっちゃおもしろかったです。
彼女が困ったり起こったりする、間とか空気感がすごいええ感じに出ていて、すごい良かった。

あとは上海の「邂逅」。
上海に出張に行き、そこの会社の社長(18歳)に散々振り回され、社長の姉が行方不明になって、一緒に探すことになるという話です。
ただうちが上海に憧れてるからってのもあるのかもしらんのですが、上海の街の怪しい色合いとか、真面目やのにうさん臭いところとか、すごいわかるしおもしろかった。
これはあんまりナオコーラ臭しなかったし。

ってさっきから、ナオコーラの匂いとかナオコーラ臭とか言うてますが、これ感じてるんうちだけやったらすみません。
小説読んでたら、著者のことってそう気にしないじゃないですか。
しかしナオコーラの作品は、節々から「はい!私!私!」って感じで、ナオコーラ本人が出てきているような気がするんです。

でもなんで表紙、レゴ?
かわいい絵やけど、イメージじゃないけどなぁ。
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by sabazaki-jaco | 2009-10-30 00:30 | ほん
「手紙魔まみ、夏の引っ越し(ウサギ連れ)」



「手紙魔まみ、夏の引っ越し(ウサギ連れ)」

 穂村弘著

 ○○









一年程前に短歌に手を出してみたもののいまいち続かず、しかし最近再びブームが来ております。
じゃんじゃん詠んでますぜ。
ここには載せませんが。(コメント欄があるのがこわい!)

入門書とか読むと詠めなくなっちゃいそうでこわくて、でも自己流すぎるのはいかがなものか、とりあえずプロの歌でも見るかーと思い、これを。
『とりあえず・・・』の感覚で手に取る歌集としては、間違えたかも。。
ぶっ飛び過ぎや!!

まみから穂村弘(ほむほむ!←めっちゃかわいいあだ名!)に宛てた手紙がひたすら。
手紙=もちろん歌です。

歌集の感想ってどないして書いたらいいんかわからんけど、好きかと言うたらそこまででもなかったので、星3つにしました。
ほんまぶっ飛び過ぎやもん。
SFやもん。
まみがぶっ飛んだファンキーな女の子ていう設定なんやろけど、てことで、とりあえず感覚で手に取る歌集としては間違っていたんやろうと思います。

でもファンキーな分、絵になる歌が仰山。
まみの手紙と、タカノ綾のかわいいけど毒のあるイラストとのが、もう、めっちゃぴったし!
このわけわからん歌たちに、タカノ綾を持ってくるっていうセンス最高です。
そもそもタカノ綾、画集買っちゃうくらい好きやし。
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by sabazaki-jaco | 2009-10-28 22:59 | ほん
「図書館戦争」



「図書館戦争」

 有川浩著

 









悔しいけど、めっちゃおもしろかったです。
軍隊とか嫌やから読みたくなかったのに!(笑)

1・図書館は資料収集の自由を有する、2・図書館は資料提供の自由を有する、3・図書館は利用者の秘密を守る、4・図書館はすべての不当な検閲に反対する、5・図書館の自由が侵されるとき我々は団結してあくまで自由を守る
『図書館の自由に関する宣言』という実在する宣言に沿って、ストーリーが進んでいきます。

『メディア良化法』が成立・施行され、有害とみなされた本はいい本も悪い本もおかまいなしに、メディア良化委員会によって処分されてしまう世の中。
メディア良化委員会の検閲から欲しかった本を守ってくれた“王子様”を探して、笠原郁は関東図書隊に入隊した。
郁の教育係であり上司の鬼教官堂上にやいのやいの言われながら、熱血バカでまっすぐな郁の成長と恋を描いたラブコメ。

あーなんかややこしくって、メディア良化委員会とか用語が仰山出てくるし、あらすじまとめるんに疲れました。
簡単に言うたら、図書館VS本を狩る悪者の戦いプラス恋愛(アニメ風)です。

とにかく軍隊とか戦争とかそんな物騒なものが嫌なんで、避けたい有川浩。
やのに結局手出してまうんは、やっぱなんやかんやでエンターテイメントとしてめっちゃおもろいからなんやろな。
「図書館戦争」なんかアニメ化されてコミックまで出て、超売れっ子ですもんね。
図書館ていうキーワード出されたら、なんとなく読まざるを得ないし。

しかし照れるわー、郁の直球を描いちゃう直球っぷりに。
脇役たちも、冷めてる発言するわりに直球のにおいがするんでやっぱり照れる。
実写化するなら小牧は小栗旬やと思いながら読んでたんですが、いかがですかー。

続編の「図書館革命」「図書館危機」は多分読まんけど(「図書館戦争」で満足したんで)、有川さんの最新刊「植物図鑑」は気になる今日この頃・・・
軍隊ではなさそうやけど、後悔するくらいにラブラブラブコメなんやろなぁ。
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by sabazaki-jaco | 2009-10-26 23:13 | ほん
「f植物園の巣穴」



「f植物園の巣穴」

 梨木香歩著

 









タイトルからしてわかる通り、今回も植物満載です。
梨木さんはやっぱり名前に“梨”て入ってるから、植物が好きにならはったんかなぁ。

f植物園の園丁が、園内にある不思議な巣穴に落ちた。
そこは水の底の不思議な世界、現在と過去が入り交じった町があり、人間やけど動物やけど人間というようなよくわからない人たちがちらほら。
ふわふわと漂う子供のころの曖昧な記憶を探して、穴から抜け出すことはできるのか。

読み終わって、謎が一つ残っておりまして・・・
園丁はいつの間に巣穴に落ちたのか、それがわからんのです。
先に帯を読んでいたんで、巣穴に落ちるってことは知ってたんやけど、最初からなのか途中でなのか、いつの間にー。
気づいたら、既に変な世界におりましたもんで。

まぁ謎はともかく、その変な世界がおもしろいんです。
雰囲気は「家守綺譚」と同じ感じ、ありえへん生き物が普通に暮らしていたりとか。
前世が犬だったという歯科医の家内は焦ると犬に戻ってしまうし、大家が雌鳥頭になってたり、ナマズの神主が出てきたり。
何より、不思議世界でついてくるカエル小僧が、かわいらしくてしゃーないのですよ。
最初全然喋られへんのに、園丁について回ってるうちに言葉を覚えて喜んで喋る、その素直な感じがほんまかわいい。

そして忘れてはならん、植物。
主人公が植物園職員な分、「家守綺譚」よりこちらのほうがマニアック植物が多いかも。
と言っても、うち、「西の魔女が死んだ」と「家守綺譚」しか読んでへんので、比べる範囲がえらい狭いですがご勘弁を。
知らん草の名前ばっかり出てきます。
名前から想像しながら、でも想像だけでも綺麗な緑のきらきらした光景が浮かびます。
図鑑でも横に置きながら読んだら、勉強にもなってもっとええのかもしれへんですけど、さすがにそこまではようしませんが。

植物好きにはたまらん一冊です。
動物好きのうちにもたまりませんでした。
でも文章が難しいね。
時間かかったー。
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by sabazaki-jaco | 2009-10-19 22:16 | ほん
「憂鬱たち」



「憂鬱たち」

 金原ひとみ著

 









この表紙にこのタイトル!
だから好きやねん金原ひとみ!(実は同い年!)

神様の田んぼがすごい憂鬱と書いて、神田憂。
今日こそは精神科に行こうと思って家を出たのに、カイズとウツイという二人の男が現れて、なぜかうまくたどり着くことができない。
なぜかバイトを始めることになってしまう、なぜかいらない服を買わされてしまう、なぜかピアスを開けてしまう・・・
妄想が暴走して現実から逃走してどうしようー。

鬱ガール神田憂の憂鬱(精神科に今日も行けない)を、明るくポップでファンキーな感じで描く。
憂鬱なのに暗くない、重くない、しんどくない。
やけっぱちな感じがなんか読んでいて気分爽快。
こんなん金原ひとみにしか絶対に書けません。

それに帯の“憂鬱 is the 快感!!”、うまいコピーつけはったなぁと心から感心します。
日本語×英語の“is the”のあほっぽさが、この物語にぴったしやわ。

そして二人の男カイズさんとウツイくん、店員さんやったりタクシー運転手やったり彼氏やったりと、毎回毎回設定が変わって現れます。
彼らが現実の人なのかも疑わしい。
憂の妄想(大半は被害妄想)で歪んだ感じに書かれているけど、一般人やからね、二人とも。
その歪みがまた、憂の尋常じゃなさがよく表れていて、良いのです。

精神状態のおかしい女の人の話ばっかり書いてはるけど、金原さんは一体どんな人なんやろか。
綺麗な人やった印象はあるんやけどな。
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by sabazaki-jaco | 2009-10-14 01:40 | ほん
「お菓子手帖」



「お菓子手帖」

 長野まゆみ著

 









長野まゆみさんの本は読んだことがなかったんですが、「少年アリス」の装丁のステキセンスは記憶に残っておりました。
そのステキセンスが作られるまでの行程が、この「お菓子手帖」に全て書かれております。

図書館で借りたら、分類番号913.6の小説となっておりましたが、これエッセイちゃうの?
ネットの情報によると、“自伝風極上スイーツ小説”て書いてあるけど、つまりフィクション?
長野まゆみという人にえらい興味を持ってしまったうちとしては、結構気になるところなんですけど、どっちなんでしょうか。

一九五九年(昭和三十四年)八月十三日の正午、東京に生まれる。
一歳、二歳、三歳・・・と一年ごとに二十九歳まで、その年齢で食べていたお菓子をひたすら紹介していく。
時代背景やその年の流行などを踏まえながら、小さい頃には母に連れて行ってもらったデパートのパンケーキを、高校生の頃には売店で買っていたお菓子を、就職して百貨店で働き始めた頃には仕事帰りに喫茶店でケーキを。

うちが生まれた年にはすでに彼女は二十四歳で、世代がちゃうので知らんお菓子ばっかり、その上東京のやから全然知らんのに、なんでか懐かしく感じました。
うんうん、あれはおいしかったなぁなんて、一緒にうっとりしてみたり。
どのお菓子も、思い出の中できらきら輝いています。

ホットケーキとスコーンとマフィンは、何度もでてきてほんまにおいしそう。
特にスコーンや。
“シンプルに小麦のうまみを味わうことができ、ざっくりしていながら、しっとりと香ばしく、クリームやシロップとよくなじんだ”スコーンが、食べたい!

長野まゆみティールーム作ってくれへんやろか。
乙女たち(うち含む)がこぞって通うよー。
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by sabazaki-jaco | 2009-10-10 00:32 | ほん
「アルゼンチンババア」



「アルゼンチンババア」

 よしもとばなな著

 ○○○









廃屋のようなぼろぼろのビルに一人で住んでいる、町の人たちからアルゼンチンババアと呼ばれている風変わりなおばあさんがいる。
みつこは、母が亡くなってから行方のわからなくなっていた父が、なんとそのアルゼンチンババアと付き合っているという噂を聞いて驚くが、勇気を出してビルのドアを叩いた。
昔々から残されたものに囲まれた独特の匂いの中に、温かくてなぜか落ち着く、本当の幸せの姿がそこにはあった。

・・というような内容ではありますが、本当の幸せの姿なんて見当たらず。。
はっきり言って、何も心に残らなかったんですけども。

アルゼンチンババアも、アルゼンチンババアっていうかわいらしい名前がついている上に(まぁ町の人たちが悪意をもってそう呼んでいるんやけど)、表紙が奈良さんの絵やから随分おしゃれに感じるけど、汚いおばあちゃんやし。
とか、冷めた目で見ちゃって、どうもアルゼンチンババアの魅力が理解できず。
温かくて心の広い優しい人のようではあるけど、なんでかわからんけどそれも嘘っぽく思えて、素直に感情移入できまへん。
ブログに書くんやからええとこ見つけようとがんばってみても、「なんかおしゃれっぽい」ていうつまらん感想しかでてけーへんなぁ。

吉本ばななからよしもとばななに変わってから、随分スピリチュアルな内容のものが多くなったように感じます。
この「アルゼンチンババア」の単行本が出る頃に、初子出産を間近に控えていたとのことでそれもあって、新しい命の誕生を温かく迎える、みたいなんを書かはったんかなぁ。
妊娠中やったり、こどもがいたりしたら、何か感じるものがあったのかもしれませんけど、あいにくうちにはそんな予定もございませんしわからんかったです。
何より小説として楽しめなかったんやし。

でもめっちゃ薄い本やから、すぐ読めましたよ。
奈良さんの絵目当てやったら、文庫より単行本のほうが絵が多そうかも。(うちは文庫で読んだんですが、単行本を確認したわけではないので、想像です。適当情報です。)
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by sabazaki-jaco | 2009-10-09 21:06 | ほん
「そこへ届くのは僕たちの声」



「そこへ届くのは僕たちの声」

 小路幸也著

 ○○









これはアニメで映画化したらええと思いますが、いかがでしょう!
「時をかける少女」みたいな感じでー。

植物状態の人間の意識を取り戻す、奇跡を起こすことができる人物がいるらしい。
「子供は預かった」と電話があった翌日何事もなかったように帰ってくる、手口は同じなのに場所も時期もばらばらの誘拐事件の真相は。
調べていくうちにわかったのは、どちらも“ハヤブサ”という人物が関わっているらしいということ。
“ハヤブサ”と不思議な能力をもつ子供たちの友情が、信じられない奇跡を起こした。

超ファンタジーやった。
これ言うたらもとも子もないけど、ありえへん能力じゃんじゃん使いますんでね。
ファンタジーがそんなに好きじゃないもんで、うち、最初らへんは二、三歩引き気味でたらたらと読んでおりました。
ほんま、真相が見え始めるまでの前半はしんどかったなー。

しかし後半、涙涙涙ー!
子供たちの友情と、それを見守る優しい大人たち。
特に新聞記者の辻谷さんは、これフィクションやけども、新聞記者という職業に対するイメージ五割増しになること間違いなしのええ人っぷりです。

全体的に台詞が多めな気がするんですが、人物が仰山出てきて、誰が喋ってんのかがわかりにくい。
女の子の口調、男の子の口調、おじさんの口調、としか見分けられへんから、おじさん三人同時に喋られたら頭こんがらがるわー。
ファンタジーでちょっと疲れたんで、なんかゆるいもん読んで頭を休めよ。
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by sabazaki-jaco | 2009-10-07 00:45 | ほん
「ブラザー・サン シスター・ムーン」



「ブラザー・サン シスター・ムーン」

 恩田陸著

 









誰もいない町と空から落ちてきた蛇、高校のとある行事で、不思議な光景を見てから仲良くなった三人は、同じ東京の大学に通うことになった。
楡崎綾音は本に、戸崎衛はジャズに、箱崎一は映画に。
それぞれが没頭していた学生時代の青春の想い出・・・

ちゃうわ。
この本を青春小説とくくってしまっては、あかん気がするんです。
もっと底のほうに、もやもやした何かが渦巻いているような。
うまいこと内容を要約できまへん、降参ー。

将来のことでもないし、恋愛のことでもないし、このもやもやは何なんでしょう。
てことで一生懸命脳みそしぼって考えてみました。

それは、三人の関係がようわからんせいではないかと、そう思いました。
綾音、衛、一の順で三章に分かれて書かれている構成になっておるんですが、話が繋がっているわけでもなく、時間の流れに統一性があるわけでもなく。
高校時代に同じ体験をしたという事実以外は、それぞれが孤立していて自由。
その自由さが余計に、三人の関係をようわからんようにさせているのかもしれないです。
ほんまに高校の時は仲良かったん?!って、疑ってしまいますもん。

この本を読んでこんなにももやもやを感じているのは、もしかしたらうち位なもんで、皆さんすいすいと意図を読み取っていたりするんやろうか。
このもやもやが青春な気もする・・・
って結局青春なんかしら。

しかし、空から落ちてきた蛇が絡み合って川を泳ぐというのは、悩みながらも未来に向かって進む若者!って感じがして、美しいなー。

解説とか書評を読んでから、再度挑戦したいです。
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by sabazaki-jaco | 2009-10-04 23:08 | ほん