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「手」



「手」

 山崎ナオコーラ著

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表題作「手」、なんかつかみどころのないお話でした。
手、やのに!

寅井サワコは、これまで年上、それも随分年上の男性とばかり付き合ってきた。
その人達や、街や電車の中で見つけたおじさんの写真を携帯で撮影し、それをブログにアップすることを、密かに楽しんでいる。

・・・それで、何なんやろ。
どんな話やったんやろ。
帯には『日本のロリコン文化を批評する、新しいファザコン小説がここに誕生。』っていう、これまたよくわからんことが書かれてあるんやが。
やっぱりつかみどころがないなぁ。

でも一緒に収録されていた他の短編三つは、どれもすごく好きでした。
ナオコーラはいつも、表題作より他のんのほうがええイメージ。

「笑うお姫さま」は、愛人が全然笑わへんから笑わそうとがんばりまくる王様の話。
中国の故事のアレンジバージョンみたいな感じっぽけど、ナオコーラのこういう古典文学パロディはめっちゃ好き。
古典っていう堅苦しくてきっちりしたイメージのものを、好き勝手なアホっぽい文章(褒めてます)で書き殴ってるのが、読んでいて気持ちがいいんです。
「論理と感性は相反しない」の中にも源氏物語のアレンジ入ってたし。
森見さんの走れメロスみたいな感じで、古典文学の本出したらええのになー。

ナオコーラの小説は、どの小説もナオコーラっていう人間が全面的に出てる感じがして、フィクションを読んでるのかノンフィクションを読んでいるのかわからんくなります。
全部「私!私ー!」って言いながら書いてる、自虐的なネタに見えるんです。
ナオコーラはきっと、自分大好き人間なんやろなぁと、毎度そう思います。
とか言いつつ、うちも同じ自分大好き人間なんで、それで多分ナオコーラのことを好意的に思われへんのでしょうが。
でも本を手に取ってまう。

ああナオコーラのエッセイ「指先からソーダ」が気になる。
読んでみたいけどコワいなぁ。
喧嘩になりそう、うちの脳内で。
by sabazaki-jaco | 2009-03-09 22:29 | ほん