「蟋蟀」



「蟋蟀」

 栗田有起著

 









2009年初読み。
初読みがこの本とは、なんだかさい先いい感じしますよー!

表題作「蟋蟀」の他、「サラブレッド」「アリクイ」「猫語教室」など、動物に関するお話が十編。
表紙のイラストのように、ゆるやかでほわほわと詰まった十編。
ゆるやかなのに、ほわほわしてるのに、しっかりキュッと詰まっております。
夜店で売られている、パンパンに膨らんだ袋に入った綿菓子のイメージです。
棒に刺さった綿菓子ではなく。

一作品目「サラブレッド」、手を握るだけで、その人がこれまで見てきた景色やこれから見る景色を、同じように見ることができる能力を持つ女の子のおはなし。
正直、うち、この本を手に取るまで栗田有起さんのことは知りませんでしたので、最近でてきた作家さんなんやろなーとぼんやり思っていました。
そして最初に読んだのが、不思議ワールド全開の有り得へん話。
有り得へんこと書いたらおもろいに決まってるからせこい、やからこの本は途中で飽きそうやな、と思いました。

しかし!
三つ目の「鮫島夫人」で、うちの頭の中で反乱、革命、栗田軍の大どんでん返し。
それ以降はもう、彼女らの言いなりでした。
だっておもろいねんもん。

ほわほわゆるーい雰囲気に見せかけておいて、実は、生や死を問う内容が多かったように思いました。
帯に書かれてあった「みんな、生きもの。」という一文。
“動物に関する短編集”やという事前情報をもとにこの本を手に取ったんで、動物やねんから生きものなん当たり前やんと、冷めた目で読み流しておりました。
まぁ“動物に関する短編集”ではあるんですが、実は動物は実際にはあんまり現れなかったりします。
「みんな、“生き”もの。」
こう言いたかったんかなーと、読み終わってから勝手に解釈いたしました。
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by sabazaki-jaco | 2009-01-06 22:40 | ほん