「かけら」



「かけら」

 青山七恵著

 









「かけら」で川端康成文学賞を最年少で受賞されたそうです。
作風がすでに安定してはるように思うのですが、青山さん26歳、うちと同い年やないかー!

父と二人でさくらんぼ狩りバスツアーに行くことになってしまった二十歳の女の子の話、表題作の「かけら」。
結婚準備を進める中で、別れた後も同じマンション内で暮らしている前の彼女の小麦のことを、何かと思い出してしまう、「欅の部屋」。
大学見学のために沖縄の西表島から東京へやって来たいとこの栞を、数日間泊めてあげることになった新婚夫婦の話、「山猫」。

三編とも、特別すごいことを描いてるってわけじゃなくて、どこにでもあるごく普通の風景なんですが、素直だし、自然でとても好感が持てる文章だなーと思います。
自然と言うても、自然食品とか、無農薬とか、素材本来の味をーとかそういうのじゃなくて、薄味で、普通の家庭で出される毎日のごはんのような。
切り干し大根とか、ひじきの煮物とかー。
場面の切り取り方が、ほんと丁寧できれいなんですよね。

「かけら」の女の子の気持ち、めっちゃわかりますもん。
嫌いとかそういうことじゃなくて、父と二人で出かけるとか、何しゃべったらええんか全然わからん。
父も多分そう思っているんやろうけど、まぁ変に気にかけてくれてる感じ。
ちょっと別行動していても、まぁ父なわけやから何かと目に入ってくるし、意外な行動をとったりしてたら、遠目にもなんでか恥ずかしくなったりして見なかったふりをしたり。
あまりにも理解できてしまうし、これ読みながら自分の父のこと考えたりして、ほんでまた恥ずかしくなってもうた。
なんで恥ずかしいんかわからんけど、その気持ち悪さをほんま上手に描いてはります。

「欅の部屋」の、昔の恋人のことが浮かんで消えてする感じわかるし、小麦みたいな個性的で魅力ある人だったら余計にそうやと思います。
「山猫」の、あんまりよく知らんけどいちおう親戚やからっていう戸惑いと、ちゃんとしてあげなあかん気持ちも。

やっぱ同年代やし思うところは同じなんやろうか。
それを見事に切り取ってはって、見せつけられてしまいました。
や、見せつけるなんて上から目線じゃなくて、きれいにつつんで頂戴しました。
[PR]
by sabazaki-jaco | 2009-12-09 23:59 | ほん