「八日目の蟬」



「八日目の蟬」

 角田光代著

 









図書館の返却期限が迫っていたから、一日で読み切りました。
ここんとこ読書ペース落ちてたけど、がんばったらできるやんか、うち。

元恋人とその奥さんの赤ちゃんを誘拐した希和子。
この赤ちゃんは私の子。
一日でも長く一緒にいられますようにと、逃げて逃げて逃げまくる。

誘拐はあかんやろー誘拐は、いやいや、と思いながら読み始めます、大抵の人はそうやと思います。
居場所を転々として逃げ回るうちに、薫と名付けられた赤ちゃんも成長し、希和子のことを当然のようにママやと思っているわけです。
気付けば読んでいるこちらも、二人が本当の親子やと思っちゃっていて、がんばれ!逃げろ!とか応援していたり。
誘拐犯やのにー。

でもこの本のおもしろさは、逃げ回るところよりも第二章にあると思います。
誘拐された子、薫と名付けられた恵理菜が大きくなってその後の話です。
大好きなママと思っていた人と突然切り離されて、知らないこの人が本当のお母さんだよと言われ・・・。
一方、娘が戻ってきたのは嬉しいけど、どう接していいのかわからない親は親で戸惑い・・・。
間違っているけど愛情に満ちた親子関係と、正しい形なのに苦悩だらけの家族と。

第一章で、薫をただ愛して育てる希和子をひたすら応援して、わかりやすい愛の形を見ていたために、第二章になって、そういえば希和子は誘拐犯であったのやったと思い出されて、誘拐犯希和子(わるもの!)のことをうまいこと客観視できないことに、読者の自分もえらい戸惑いました。
登場人物誰の視点で読むかによって考え方が変わってくるんやと思うんですが、うちは最後まで希和子がんばれの視点で読んじゃった。

第一章と第二章をつなぐ部分が特にすばらしいです。
先の景色が見えるか見えないかすれすれの、坂道を一歩ずつ歩いていくような、そんなワクワク感。
今ちょっと読み返してみたけど、寒気がしました。
最高のつなぎやわ。
[PR]
by sabazaki-jaco | 2009-12-08 02:48 | ほん