「食堂かたつむり」



「食堂かたつむり」

 小川糸著

 









もーこんなに泣いたん久しぶり!

失恋して何もかも失い、声まで出なくなってしまった倫子。
唯一手元に残った祖母のぬか床を持って故郷に帰り、母から離れの物置を借りて、一日一組限定のメニューのない食堂を始める。
地元で穫れた新鮮な食材に敬意を払い、一人一人のお客さんのために愛情を込めて作った料理が、たくさんの奇跡を生む。

おいしい料理って、ほんま人を幸せにしますよね。
それが全部のページから溢れています。
料理もおいしそうだし、倫子が料理をするのが好きやってことが読んでいてすごい伝わってくる。
食材そのものの魅力も溢れていて、例えばみずみずしい赤かぶとか、鰹節の堅さとか、オリーブオイルのなめらかさとか。

失恋したし、喋れへんし、実家の母とは険悪な関係だし、倫子自身は幸せていうよりは辛い状況。
でも料理している時の倫子からは、幸せな空気がもくもくと出ています。
見えます、幸せの空気が。

前半はひたすら幸せの空気でいっぱいなんですが、後半目を背けたくなるような出来事も。
それは、“ごはんを食べる”ことと同じくらい当たり前に身の回りにあること、生きることと死ぬこと。
おいしいお肉や魚かって、野菜や果物かって、そうですもんね。
でもその事実を、読者に考えさせるように重々しく描くなんてことはもちろんせず、淡々と普段とかわらない毎日の延長として。

ほんまにもう途中からは泣きっぱなしでした。
涙と鼻水で溺れるくらい。
幸せな気分になりたい人には、この本を薦めたいです。
そしてすべてのごはんに感謝!
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by sabazaki-jaco | 2009-12-04 01:05 | ほん