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「海峡の南」



「海峡の南」

 伊藤たかみ著

 









最近たかみさん、ポポポンッと新刊出しまくりですね、うれしい!

父は故郷の北海道を出て、ナイチに渡った後も関西を転々とし一カ所にとどまることなく、また金儲けの話が好きな人だった。
タイのチェンマイへ行くという手紙を最後に、音信不通になってしまった父。
祖父が危篤の状態にあると連絡を受け、僕ははとこの歩美とフェリーで北海道へと渡ったが、やはり父の行方はわからないままであった。
北海道の親戚たちの中で、血のつながりや父の昔の姿を想いながら、僕は父を探し始める。

この小説の僕は、父のこと別に好きじゃないんです。
チェンマイに行くていう手紙をもらったかって、ふーんなんでチェンマイなんやろーふーん、くらいにしか考えてへん。
やのに祖父が危篤になって父の故郷を訪れ、仰山の親戚にも囲まれ、父との血のつながりを意識せざるを得なくなる。
しかもこの僕、はとこの歩美と付き合っていたりするんです。
つながるつながる。

北海道と関西の描き方の対比がすごく効いていていい。
危篤の祖父を見守る父不在の冬の北海道と、過去の振り返りとして語られる、父が色んな金儲けの話に手だしまくって元気やった時代として描かれる関西と。
静と動と、冬と夏と、死と生と。

たかみさんの描く大阪、めっちゃ好きです。
ガサツやし、汚いし、厄介な感じやし、美しく描いてくれてるってわけじゃ全然ないけど、大阪人として読んでいてなんか心地いいんですよね。
「ドライブイン蒲生」の大阪とか、ほんますばらしいし。

ところで、たかみさんと角田さんて離婚してはったんですね。
知らんかったー!
なんかちょっとしょっく。
by sabazaki-jaco | 2009-11-12 00:39 | ほん