「蛇行する川のほとり」



「蛇行する川のほとり」

 恩田陸著

 









少女が大人になる瞬間は、小説やら映画やら漫画やら、色んな手段で描かれてきたことと思います。
それやったらうちは、その代表にこの本を選びたい。

うちで合宿をしましょうと、憧れの先輩の香澄と芳野からお誘いを受けた毬子は、嬉しくて嬉しくて舞い上がってしまう。
二人は高校美術部の先輩であり、演劇祭で使う舞台の背景を描き上げなくてはならなくて、その合宿を香澄の住む「船着場のある家」ですることになったのだった。
合宿には他にも、香澄のいとこの月彦と、女の子みたいな綺麗な顔立ちの暁臣が来たのだが、実はこの五人は、この付近で遠い昔に起きた未解決の事件に関わりがあった。

美しい少女と事件、うーんぞくぞくする組み合わせ!
「船着場のある家」と、そのお隣の「塔のある家」、ネーミングからして神戸の異人館みたいな洒落た建物に違いないし、もう何かと乙女心をくすぐってくるんですよね。
酒井駒子さんの表紙も、何かを秘めている感じが内容とぴったし。

探偵みたいに事件を解決するのではなく、事件当時の秘密が最初から彼女達の中にあって、少しずつ思い出す、あるいは思い出すように仕向ける。
ミステリってよくジクソーパズルに例えられるけど、そんなばらばらな感じじゃないんですよね、恩田さんって。
完璧な状態のものを、優しく慈しむようにはがしていくというか・・・ええ例えが見つからないですが・・・。
純粋で美しい少女たちを、あたたかく見守りながら書きはったんやろなぁ、これ。

うちが一番好きなシーン、それはなんと言っても最終章。
秘密をこっそりと自分だけに教えてもらっているような感覚になりました。
「私たちだけの秘密よ。誰にも言っちゃだめよ。」と友達と隠れて喋った、小さい頃の思い出のような。
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by sabazaki-jaco | 2009-09-12 23:14 | ほん