「猫の形をした幸福」



「猫の形をした幸福」

 小手鞠るい著

 









彩乃と未知男はお見合いで出会った翌日に結婚を決め、すぐにアメリカで暮らし始めた。
そして一匹の猫を飼う。
マキシモと名付けられたその猫と過ごした、二人の愛に満ちた幸福の日々の物語。

小手鞠さんは、猫を飼ったことがある人に違いないです。
でなければこれは書けるわけがないし、何より文章からただならぬ愛情を感じるからです。

飼い主である彩乃と未知男の、目線や心情の描き方がとても切実。
ドキュメンタリーを見てるみたいです。
それか町田康の「猫にかまけて」「猫のあしあと」のような、猫エッセイに匹敵するくらいの真実味が溢れまくっています。
愛する猫に何かを残したいっていう想いが、めっちゃあったんやろなぁ。
ええ人や!

物語として成り立っていないなんてことは全くありません。
妻であり女である彩乃の目線と、夫であり男で、アメリカ生まれで文化も違う未知男の目線。
一匹の猫を愛していることは同じでも、捉え方が全然違ってくるんですね。
最初から最後まで彩乃の立場で語っているので、未知男の目線は行動や台詞からだけですが、なんとなくわかります。
読み取った結果、うちは未知男があんまり好きじゃないわってことがわかりました。
でも猫を愛する人は皆ええ人!

小説としては正直あまり好きではなかったのですが、猫文学としてはもうすばらしいの一言でした。
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by sabazaki-jaco | 2009-06-06 03:27 | ほん