「ベルカ、吠えないのか?」



「ベルカ、吠えないのか?」

 古川日出男著

 









うぉん。
これはイヌの歴史の本。

1943年、アメリカから攻撃を受けて、日本軍はキスカ島から撤退する。
しかし4頭の軍用犬が残されたままだった。
北、正勇、勝、エクスプロージョンの4頭。
キスカ島に上陸したアメリカ兵によって島から連れ出され、子を産み、その子どもたちは世界中に散らばる。
たいへいようせんそうとか、べとなむせんそうとか、人間がそういったことをしている裏側で、イヌの歴史は始まっているのです。

出てくる人間は軍隊かマフィアばっかりなんですが、イヌたちが文句なしにかっこいい!
手塚治虫の「フライングベン」を思い出させるような、しなやかな動き。
しかしその強さは、訓練されているといっても絶対ではなくて、死ぬ時はぱたりと死ぬ。

強さは絶対ではないけれど、彼らの血は絶対。
血の繋がったイヌが増えて増えて、あるイヌはアメリカへ、別のイヌはロシアへ、また別のイヌは中国へ・・・
戦争やったり売買されたり、人間の都合によって血の繋がったもの同士がまた出会う。
つまり、めっちゃややこしい!

でも案外すんなりと、人間関係、じゃなくて犬間関係?けんけんかんけい?、頭に入ってきます。
とても説明的な文章のおかげで。
「説明的」って、あまりよろしくない印象がありますが、古川日出男の「説明的」はうるさくない。
クール!
漢字の横にカタカナのルビを振っている(例えば、世話と書いてマネージと読ませる、といったような)のも、嫌みな感じが全くしません。
ベリークール!!

古川日出男の書くストーリーは、全ての動物たちへの愛がめっちゃ感じられるから、本当に好きです。
愛と同時進行の、畏敬の念。
イヌは、あるいはネコは、彼らはこんなにすばらしい、だから私はとても敵わない、とでも言いながら本を書いているような。

ちなみにこの本は、古川日出男初心者にはあまりおすすめしません。
難しすぎです。
うちには難しすぎました。
文庫本には、イヌ系図が載っているとの噂!
立ち読みでもして、頭を整理させないと!
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by sabazaki-jaco | 2009-05-29 00:23 | ほん